山崎響のセンチメンタル暴力ブログ

物語を書いたり、書評したり、あれこれ思ったり。 演劇、映画、小説、色々見たこと、聞いたこと、そんな事を書いてます。 気軽にコメント下さいねっ!

ふわふわのダブルロールじゃないとちょっと。
風になびいて届けマカロン。

短編

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漢字を思い出せずに数日過ごしている。

横風が吹く街中で、マフラーに顔をうずめた時、

振り落ちる雪が、街灯のオレンジに染まる時、

手には缶チューハイとホットスナックが入ったビニール袋だったり、

スマホだったりする。

あの漢字はどう書くのだったっけ。

最近はパソコンばかりで、

漢字を書くことがなくなったからだろうか。

便利になり過ぎるのも困ったものだ。なんて、

白髪交じりのセリフが浮かんでは消える。

スマホで変換したらいいのだろうけれど、

どうしても自力で思い出したい気がするし、

自力で思い出さなければならないような気がする。

まぼろし という漢字はどうだったけ?

特別、思い出さなくてもいいような気もしていて、

日常では忘れているけれど、

夜の一人道、アルコールが入った深夜なんかに、

無性に思い出したくなって、

なのに思い出せなくて、諦めて眠る。

そんな風に繰り返す毎日の中で、

電話が鳴った。

お互いの近況なんかを話し合って、

なんとなく話が収まり始めたタイミングでバイバイを言ったのに、

「あ、そういえば」

という一言から、

最近好きな食べ物やら、テレビで何が面白いだとかの話が始まってしまって、

そこから気づけば一時間半経った。

電話を切って、

昔のことを少し思い出した。

電話相手だった彼女はよく笑う人だった。

そして、よく怒る人でもあった。

今思えば、隣で見せる笑った顔も怒った顔も好きだった。

丸く笑って、丸く膨らんで怒る。

そんなことを思い出してるうちに、とうとう思い出した。

まぼろしという漢字を。


創作短編恋愛話 「あの街」

こんばんは。

山崎 響です。

思い出はたまに心からどろっとあふれて

足を絡め取ったり

胸を苦しくさせたりしますね。

それすらも心地よかったりもしますが。

今回も一枚の写真から・・・

というのは嘘で、

今回は先に文章が出来たので、

後から画像を探しました。

まぁ、どちらにしてもまた勝手な妄想を膨らませてお話を書きました。

ということに変わりありませんが。

では、

お時間と暇がゆるすならばご覧になっていただければ幸いです。









タイトル 『あの街』



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あの街を一緒に歩こう。

君が手をひいてくれたあの街を。

 

あの海を一緒に歩こう。
 
二人の名前を書いたあの海を。

 

今 君がいるあの街には素敵な話があるんだ。
 
よくあるカップルの話だけれど、特別な話があるんだ。
 
当たり前のように手を繋いで歩いたあの街に

 
 

誰も知らない特別な話があるんだ。あの街には。





あの夜を一緒に過ごそう。
 
君が隣にいてくれたあの夜を。

 

あの宿で一緒に過ごそう。
 
暖房が効き過ぎたあの宿で過ごそう。

 
 

食べ過ぎて 飲み過ぎて ふらふらになって笑って歩こう。
 
寝起きの飲み過ぎて腫れた顔を写真に撮って

少し君を怒らせたりしよう。
 
コーヒーを飲んでタバコを吸ってごろごろして

二人でシャワーを浴びて
 
君が化粧してる横で俺は言葉が解らないテレビを見て
 
鏡越しに目が合ったりしよう。
 
そんなありふれたことをして過ごそう。

 
 

誰にも話せるようなことじゃないけれど、
 
素敵な話があるんだあの街には。
 
そういう特別な話が。
 

 

二人だけの時間を過ごそう。

当たり前だった二人の時間。

幸せだった二人の時間。



いつか。 必ず。 いつか。
 






おしまい












創作短編恋愛話 『腹』

こんにちは。

山崎 響です。

皆様は連休でしょうか?

夏休み。

私は今年の夏は

本格バーベキューに取り組みたいと思っています。

気合いを入れて

コストコの会員になったので、

キロ単位で肉や野菜を買い漁って、

大所帯でやりたいと思っております。

知人で、

秋刀魚を焼こうとして網にくっつくわ、

肉に魚の匂いが移るわで顰蹙を買った人がいますので、

海の物は貝やイカくらいにした方が良さそうです。

って

なんの話でしょうかこれは。

今日もネットで拾った一枚のイラストから

想像と妄想のみを頼りにお話を作ってみました。

成長期、思春期の女子というのは、

戸惑いの中にあるような、

体の変化に心と頭が追いつかない現象が起こるようです。

ではご覧下さい。








タイトル 『腹』




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走る君の横顔が

ずっと好きだった。

盗み見るようにこっそり見ていた。

私は必ず目を逸らすから

君と目が合うことはなかった。



笑う君の声が

ずっと好きだった。

盗み聞きする私は教科書を見るのだけれど

何一つ文字が言葉にならなかった。




髪はちゃんと乾かさないといけなくて

公園のトイレで着替えないといけなくて

そのどれもが無かったことのように玄関を開けて、

そして振る舞わなくてはいけなくて

私はそれを上手に出来た。
 


 
制服から私服、

私服から制服、

制服は脱いだり脱がなかったりして

また私服を着て

私服から制服を着る。



色々とシャワーで流すのだけれど

感触がやけに残ってて

声が頭に残ってて

吐息が体温が温度が匂いが

そのどれもが君を消していく


 
私は君を好きだった。

目も合わせられないくらいに。

他のものが聞こえないくらいに。



二万円の私は、

今の私は、こんなにも君と

目を合わせて笑顔で喋れて、

手を繋いでいる。


 
おしまい






いかがでしたでしょうか。

可愛いイラストだったので、

どうしてもこういう話にしたかったのですが、

私の中では、

まぁ、よくある話かなぁ。という感じです。

ではまた。





 

創作短編ほっこり話 『冬・あの店で』

こんにちは。

山崎 響です。

前々回の喪服前進様とのコラボ記事が

とんでもないPVを記録して、

喪服様の凄さを感じています。

さて、

今回も一枚の写真からストーリーを作るお遊びに興じました。

この写真は韓国映画「酒を飲む」の一場面です。

私は古臭い物が好きです。

日本映画も70~80年代の物が好きですし、

定食屋も大戸屋ややよい軒のような小奇麗な所より

個人経営のボロボロなとこの方が好きです。

なんとも言えないノスタルジーを感じられれば、

定食が不味くたってサービスしてくれなくたって、

来て良かったと思えるタイプの人間です。

ではご覧ください。








タイトル 『冬・あの店で』





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あれは冬
 
あれはどこだったか


 
あれは冬
 
あれは何を食べたのだったか





あまりお金の無かった俺達が

選んだお店は

隙間風が
 
隙間以外からも入ってくるような
 
ぼろぼろの
 
おんぼろのお店だった


 

古臭いストーブがやかんを乗せて
 
湯気と一緒にチンチン鳴っていた


 

海風を受けて
 
入口の戸ががたついていた


 

店には俺達しかいなくて
 
よけい寒さを感じたんだった


 

昼からお祝いだと言って
 
焼酎をあおった

 

たしか
 
何もお祝いごとなど無かったはずだ
 


何を食べたのだったか

 

鍋だったか
 
貝焼きだったか

 

とにかく
 
食べ物と焼酎のおかげで
 
体はやたら温かかった


 

けれど
 
指先だけはどうしても
 
寒くて

 

思い出すと
 
今でもなんかおかしい

 

みんな暖かいはずなのに
 
手だけがぶるぶる震えて

 

震える手で焼酎を飲んでいると
 
店のおばちゃんに
 
アル中だなんだと散々言われて

 

それもやけにおかしくて
 
笑いに笑った気がする

 

 


人に聞かせられるほど
 
面白い話ではないけれど


 


あの日
 
あの場所にいた俺たちのことを
 
幸せと呼ぶのだろう

 
 

あの日
 
あの場所にいた俺たちの時間を
 
人生と言うのだろう




そして人は

この宝物に

思い出と名付けるのだろう 




おしまい。

 




いかがでしたでしょうか。

私が一番好きな飲み会の場所は、

親戚のおじちゃん達が集まって、

金色の包み紙のマグロフレークキューブやサキイカがテーブルにあって、

安い焼酎や安い日本酒を飲んでる。

そんな場所が一番好きです。

もう十何年もそういう集まりはありませんが。

ではまた。 




 

創作短編恋愛話 『一年』

こんばんは。

山崎 響です。

今日も今日とていつもの語遊戯。

一枚のイラストや写真からストーリーを妄想しました。

が、

今回はなんと様子が違います。

喪服前進さん。というブロガーの方からの依頼です!



喪服前進さんのブログ 『熱発UFOナイト』
http://blog.livedoor.jp/mohukuzenshin/
このブログは、喪服氏の高い画力、バカバカしい笑いが売りの才能の無駄遣い系ブログです。
興味があってもなくても是非一度ご覧ください。




というわけで、

今回は喪服前進様からイラストをご提供いただいて

やってみました。

ご覧ください。








タイトル 『一年』



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私はずっと知っていた。

何か言いたい気持ちもあったけれど

見守ることにした。

可哀そうかな?と思ったけれど

私が何か言えば

あの子をみじめにさせると思った。





そして今日

いってきます。

その声がいつもと違っていた。

慌てて玄関を出て

娘の姿を探すと

今にも駆け出すんじゃないかと思うように

跳ねて歩いていた。

私の知ってるあの子が帰ってきたようだったし

背中にはランドセルが見えるような気がした





結局一年くらいは続いたのだろうか。

社会人になって二年目の秋から一年

ふと気づいた時はすでに

背伸びして転びそうだと思った。

物憂げな仕草

服装もあの子らしくないものに変わって

私とあまり目を合わせなくなった。

帰りは決まって遅くなり

仕事が忙しいと言った。




甘い物も食べなくなって

可愛いものを遠ざけるようになった

まるで今までの自分を切り捨てていっているようで

痛々しくて見ていられなかった




娘はどんな言葉を貰っていて

どんな言葉をあげてるのだろう

何を感じて

何を見ているのだろう

娘の部屋からたまに聞こえてくる

すすり泣きを聞いて

胸が締め付けられた

けれど

あの子は泣いていい立場なのか分からなかった。





今日は少し暑いみたい。

青空が広がって

辺りを真っ白に照らしている。

晴れ渡った空に

吸いこまれるように娘の姿が飲みこまれていき

私はそれをしばらく見ていた。









おしまい


 






どうでしたでしょうか。

作品の解説は控えますが、

ぷりっとしたお尻、

青空

光の陰影

などから色々と考えてみました。

なんとなく楽しそうで、

嬉しそうで、

けど、

なんだか凛とした逞しさのようなものがあるような気がします。

ところで、

昔の歌謡曲なんかを聞いていると

恋にしても愛にしても

しっとりとした色気や

情や憂いなんかを感じますが、

どうなんでしょうかね。

セックスの価値が薄まっている現代、

恋愛の価値も比例して薄まっている気がします。

セックスの中に恋愛を孕んでいるのか、

恋愛の中にセックスを孕んでいるのかは分かりませんが、

きっとセットなのでしょうね。

ではまた。




 
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